2012年2月にシングル「ぐるぐるカーテン」でデビューした乃木坂46。「BIRTHDAY LIVE」は、このデビュー日をファンと祝う毎年恒例のワンマン公演だ。10周年という節目の年の“バスラ“は、乃木坂46史上最大規模の会場である日産スタジアムが舞台となった。2日間の公演で約14万人のファンを動員した彼女たちは、スタジアムならではのダイナミックな演出やファンの興奮を誘うとびきりのサプライズを随所にちりばめたスペシャルなステージを披露。グループが歩んできた10年間を振り返るとともに、“今までで一番大きなステージ”から11年目へ向けた大きな1歩を踏み出した。この記事では、2日目のライブの模様をレポートする。
「ぐるぐるカーテン」で幕を開け、生駒里奈、伊藤万理華という2人の卒業生のゲスト出演に客席が沸いた初日公演に続く2日目。乃木坂46の野外ライブには雨がつきものだが、この日の横浜の空は雲り空で持ちこたえていた。開演時刻の17:00を迎えると、グループカラーの紫色で彩られた大きなステージに、5期生から1期生までのメンバーが期ごとに姿を見せた。最後に1期生の4人が登場し、全44人がそろったところでキャプテンの秋元真夏は「今日も全員で、全力で最高のライブをお届けしたいと思います。乃木坂46史上最大のバースデーライブ、楽しんでください!」と力強く開幕宣言。彼女の言葉を合図に「10th YEAR BIRTHDAY LIVE」2日目のライブは「インフルエンサー」のパワフルなパフォーマンスで幕を開けた。
客席の各所から空へと舞い上がった真っ赤な風船、ステージ上部から放たれた赤いテープキャノンと初っ端からダイナミックな演出が盛り上がりを加速させる中、与田祐希と岩本蓮加がセンターに立った「逃げ水」、4曲目の「スカイダイビング」ではステージ前方や花道の各所からウォーターキャノンが発射。メンバーはさっそくアリーナを囲む外周の花道へと駆け出して、客席を埋め尽くすファンに向けて大きく手を振った。オープニングブロックで披露されたのは、2017年に発表された楽曲の数々。この年に加入した3期生による「三番目の風」では、今の3期生メンバーの勢いをそのままパフォーマンスに乗せたようなエネルギッシュなステージが展開され、与田や山下美月、久保史緒里は両手で作った大きなハートを風に乗せ、ファンのもとへと贈っていた。
続く“2018年ブロック”は「日常」でスタート。ナレーションで「ライブに欠かせない名曲になった」と紹介されたこの曲で、センターの久保は鋭い視線を客席へ向け、堂々たる歌唱とダンスで聴衆を魅了する。「誰よりそばにいたい」では佐藤楓を中心としたアンダーメンバー16人が優しいハーモニーを響かせ、梅澤美波が「スタンド席の皆さん、今から会いに行きます!」と叫んだ「ジコチューで行こう!」では、スタンド席と同じ高さに設置されたミニステージでメンバーが歌声を届ける。「空扉」でトロッコに乗り込み、ファンに近い距離でさわやかな歌声を聴かせたあとは、この日最初のMCへ。秋元は「乃木坂のライブには珍しく、まだ雨は降っていません!」と笑顔で曇り空を見上げ、前日の初日公演に出演することができなかった与田は「いざステージに立ってみると、ここに立てるうれしさ、皆さんの顔が見られる幸せを感じます。温存していたパワーを全部放出できるようにがんばります!」と言葉に気合いをにじませた。
秋元が「続いてはこちら!」と曲振りをすると、壮大なファンファーレが会場に鳴り響き、ステージ後方のLEDパネルが上昇。そこに立っていたのは2019年にグループを卒業した
西野の登場とともに降り出した雨は“2019年ブロック”が進むごとに強くなっていったが、屋根のないエンドステージに立つメンバーは悪天候を感じさせない気迫のパフォーマンスで1つひとつの楽曲の世界観を表現してみせる。「夜明けまで強がらなくてもいい」では踊るメンバーのシルエットが大きな白布に映し出される幻想的な演出が観客の目を奪い、続く「Sing Out!」ではセンターの齋藤飛鳥がしなやかなソロダンスを披露。彼女の美しいパフォーマンスに、会場中のファンがクラップ音を鳴らして大きな一体感を作り上げていた。
3期生による「毎日がBrand new day」、4期生による「I see…」でフレッシュにスタートした“2020年ブロック”では、西野の登場に続くサプライズが。「しあわせの保護色」の曲中、ステージ後方のLEDパネルが荘厳な城を映し出すと、その城の扉の奥から紫色のドレスに身を包んだ2020年卒業の
白石のグループ卒業のタイミングと時を同じくして訪れたコロナ禍。ファンとの対面の機会を奪われた苦難の時期・自粛期間を振り返るセクションでは、医療従事者や自粛を続ける人たちへの感謝の気持ちを歌ったメッセージソング「世界中の隣人よ」が披露された。当時は直接歌声を届けることが叶わなかったこの曲を乃木坂46はオーディエンスへ向けてまっすぐに歌い上げ、秋元は曲中に「どんなときも寄り添ってくださった皆さん、本当にありがとうございます。感謝の気持ちを込めて歌います」とメンバーの思いを代表して口にする。曲が終わると、LEDビジョンには「世界中の隣人たちが安心して過ごせる日が訪れるまで 私達は歌い続けます」というメッセージが大きく映し出された。
乃木坂46の歩みを1年ずつたどってきたここまでの「10th YEAR BIRTHDAY LIVE」。グループの今へとつながる“2021 / 2022”パートでは、3期生の山下がセンターを務めた26thシングル曲「僕は僕を好きになる」、4期生の遠藤さくらがセンターを務めた27thシングル曲「ごめんねFingers crossed」、4期生の賀喜遥香がセンターを務めた28thシングル曲「君に叱られた」が続けて披露され、グループのこれからを担う彼女たちの力強い存在感がパフォーマンスをもって示された。そして、乃木坂46のディスコグラフィは、2021年12月にリリースされた初のベストアルバム「Time flies」まで進む。すると、ステージには3人目のサプライズゲストとして、昨年いっぱいでグループを卒業した
ライブ終盤、「これから登場するのは、グループの未来を作る新たな仲間たち」というナレーションと1人ひとりの紹介VTRを経て、ステージには2月に加入が発表されたばかりの5期生が姿を見せる。11人で舞台に立った彼女たちは、クールなセリフパートが特徴的な四つ打ちのエレクトロナンバー「絶望の一秒前」を涼やかな表情と仕草で歌い踊り、その存在を大勢のファンに印象付ける。そして、5期生の中西アルノは29thシングル曲「Actually…」でセンターポジションへ。リリース時には活動を自粛していた中西に代わって齋藤と山下がセンターを務めていたこの曲のオリジナルパフォーマンスを、日産スタジアムの大きなステージで披露し、力いっぱいのシャウトを夜空に響かせた。
2日間をかけて29枚の全シングル曲が披露され、乃木坂46の10周年記念ワンマンは佳境へ。44人全員がそろったステージで、改めてメンバーは今の思いをファンに伝える。山下は「乃木坂46はまだまだこれから成長していきます。今がピークとならないよう、今いる私たちが精いっぱいがんばっていきます」と意気込み、賀喜は「この10周年は、新たなスタートのきっかけです。先輩からいただいた愛情をエネルギーに、これからの乃木坂46を作っていきたいと思います」と約束。5期生を代表してマイクを握った菅原咲月は緊張を隠さずともまっすぐな眼差しで「いつか、今度は私が勇気を与えられるような存在になりたいです」と先輩たちの挨拶に続いた。
それぞれの思いが届けられたMCののちに全メンバーで披露されたのは、10周年を記念して作られた「他人のそら似」。この曲のダンスにはこれまでのシングル曲の象徴的な振り付けが取り入れられており、メンバーはLEDビジョンに映し出される過去のパフォーマンス映像をバックにさわやかなパフォーマンスを届けた。そして「おいでシャンプー」のイントロが流れると、齋藤は「また皆さんのもとへ会いに行きます! みんなのシャンプーの香りが嗅げるかもしれませんよー!?」と愛嬌たっぷりに絶叫。彼女の言葉をきっかけにメンバーは花道へと飛び出し、ライブの定番楽曲である「夏のFree&Easy」「太陽ノック」で会場中のファンと笑顔を交わした。
「こんなかわいい子たちにもっと応援くれませんか!?」という齋藤の煽りにオーディエンスが全力でペンライトを振って応えた「裸足でSummer」では、夏を先取りするような鮮やかな花火がスタジアム上空に打ち上がり、乃木坂46のアニバーサリーを祝福した。また、ライブ本編最後のMCタイムにはドローンを使用した会場上空からの記念撮影タイムが設けられ、このコーナーには卒業生の西野、白石、生田が再登場。3人はスタジアム外のスペースに用意された10本のトーチに火を灯し、西野は「私たち卒業生も、乃木坂46がこれからも愛されるグループであることを祈っています」と現メンバーにエールを送った。そして、卒業生3人から“11本目のろうそく”のバトンを受け取った1期生の4人は向井葉月が用意した点火ボタンを押し、「11年目の乃木坂46もよろしくお願いします!」と言ってステージ上部の大きなトーチに火を灯していた。
点火セレモニーを終えると、ステージ上にはオーケストラがスタンバイ。本編最後のパートはオーケストラの生演奏をバックに届けられ、メンバーは「きっかけ」「サヨナラの意味」で壮大なサウンドをバックに澄んだ歌声のユニゾンを響かせた。ラストの曲を前に、齋藤は「10周年を迎え、ここからまた私たちは新たな一歩を踏み出します。これからも、乃木坂46の未来にはたくさんの希望があります」とファンに約束する。この言葉とともにラストを飾ったのは、「君の名は希望」。ステージの端から端まで、横1列に並んだ44人は、スタジアムを埋め尽くすファンとまっすぐに向き合って歌声を届け、笑顔で手を前に差し出して楽曲を締めくくった。
鳴り止まない拍手に応える形でスタートしたアンコールでは、影アナウンスによるメンバーコールとともに44人のメンバーがスタンド席の東西に設置されたステージに分かれて登場。すると、影アナはゲスト登場した西野、白石、生田を呼び込むだけでなく、さらなる卒業生ゲストの
メモリアルなひとときとなった初の日産スタジアムワンマンの最後を飾ったのは「乃木坂の詩」。乃木坂46が歩んできた10年間、どんなときもライブの締めくくりに歌われてきたこの曲が始まると客席は紫一色に光り輝き、この美しい光景を目の当たりにしたメンバーの瞳には涙がにじんだ。曲中、秋元が「皆さん、11年目も……」と呼びかけると、メンバーは「よろしくお願いします!」と声を合わせる。曲を終え、秋元は「たくさんの意味で特別なライブになりました。乃木坂46には、今日来てくれたメンバーのほかにも素敵な卒業生がいっぱいいます」とファンに伝え「メンバーと一緒にこの乃木坂46を作ってこられたことが、人生の誇りになりました」と自身の思いを語った。そして彼女は「私たちはまだまだ歴史を作り続けて、新たな未来を切り開いていかなければいけません。どんな困難も、皆さんと一緒なら乗り越えられると信じています。皆さん、11年目もどうか私たちの隣で歩いてください」と7万人の客席に呼びかけ、涙が輝く瞳で乃木坂46の未来を見つめた。
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乃木坂46「乃木坂46 10th YEAR BIRTHDAY LIVE」2022年5月15日 日産スタジアム 1日目 セットリスト
01. ぐるぐるカーテン
02. おいでシャンプー
03. 走れ!Bicycle
04. 指望遠鏡
05. せっかちなかたつむり
06. 狼に口笛を
07. 制服のマネキン
08. でこぴん
09. 他の星から
10. バレッタ
11. 君の名は希望
12. ロマンティックいか焼き
13. ガールズルール
14. 気づいたら片想い
15. 夏のFree&Easy
16. 何度目の青空か?
17. ここにいる理由
18. 命は美しい
19. 僕がいる場所
20. 今、話したい誰かがいる
21. 太陽ノック
22. 悲しみの忘れ方
23. ハルジオンが咲く頃
24. サヨナラの意味
25. 裸足でSummer
26. きっかけ
27. 絶望の一秒前
28. ごめんねFingers crossed
29. インフルエンサー
30. 他人のそら似
31. I see…
32. スカイダイビング
33. 君に叱られた
34. ジコチューで行こう!
35. 夜明けまで強がらなくてもいい
36. 僕は僕を好きになる
37. Sing Out!
<アンコール>
38. 会いたかったかもしれない
39. ハウス!
40. 乃木坂の詩
乃木坂46「乃木坂46 10th YEAR BIRTHDAY LIVE」2022年5月15日 日産スタジアム 2日目 セットリスト
01. インフルエンサー
02. 逃げ水
03. いつかできるから今日できる
04. スカイダイビング
05. 三番目の風
06. 日常
07. 誰よりそばにいたい
08. キャラバンは眠らない
09. ジコチューで行こう!
10. 空扉
11. 帰り道は遠回りしたくなる
12. ありがちな恋愛
13. 夜明けまで強がらなくてもいい
14. Sing Out!
15. 4番目の光
16. 毎日がBrand new day
17. I see…
18. しあわせの保護色
19. シンクロニシティ
20. 世界中の隣人よ
21. Route 246
22. 僕は僕を好きになる
23. ごめんねFingers crossed
24. 君に叱られた
25. 最後のTight Hug
26. 絶望の一秒前
27. 届かなくたって…
28. Actually…
29. 制服のマネキン
30. 世界で一番 孤独なLover
31. 他人のそら似
32. おいでシャンプー
33. 夏のFree&Easy
34. 太陽ノック
35. 裸足でSummer
36. きっかけ
37. サヨナラの意味
38. 君の名は希望
<アンコール>
39. ガールズルール
40. ロマンスのスタート
41. 乃木坂の詩
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2022-05-15 15:01:00Z
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