令和初となる「第161回芥川龍之介賞」を受賞した今村夏子氏(39)と「直木三十五賞」を受賞した大島真寿美氏(56)が17日、東京・帝国ホテル「桜の間」で行われた受賞者会見に出席。受賞の喜びを語った。
【写真】「第161回芥川龍之介賞・直木三十五賞」ノミネート作品
3度目の候補入りだった今村氏は『むらさきのスカートの女』(小説トリッパー春号)で、2度目候補入りの大島氏は『渦 妹背山婦女庭訓(いもせ やまおんなていきん) 魂結(たまむす)び』(文藝春秋)での受賞。
会見冒頭、少々緊張の面持ちで写真撮影に応じた2人。先に会見に応じ、今の心境を聞かれた今村氏は「大変驚きました」と受賞の実感がまだない様子で「(受賞報告は)ビルのレストランで担当編集さんとお茶を飲みながら待っていて、お電話をいただいた時は信じられなくてビックリしました」と伝えた。
今村氏はこの日、黒のカーディガンを着て登場。タイトルにちなみ「紫色の服を着て来ると思ったのですが」と記者から質問されると「(自分にとって)特別なイメージを持ってつけたわけではありません」と答えた。
これまで獲得してきた賞のタイトルにちなみ、太宰治、三島由紀夫、芥川龍之介への思い入れを問われると「あまり本を読む方ではないので」と前置きしつつ、太宰の『燈籠』をお気に入りに挙げた。芥川賞については「一生取れないものだと思っていたので、受賞は驚きましたしこれからも頑張らないといけないなと思います」と話しつつも「芥川龍之介の作品はあまり知りません」と、ひょうひょうとした様子で笑いを誘った。賞金100万円は全額貯金すると宣言していた。
一方、大島氏は「ビックリしています。あまり実感がないです」と今村氏と同様に驚きの心境を告白。受賞作は「大阪弁の語り口」が選考委員の評価を得ており、苦労した点を聞かれると「あんまり苦労をしていなくて、書けてしまった。ただ、完全に関西弁過ぎてしまうと読みにくくなってしまうので、バランスを取ることは注意しました。間違えれば校閲の方が直してくれますし…」と笑わせた。
今村氏は1980年広島県広島市生まれ。2010年『あたらしい娘』(のちに『こちらあみ子』に改題)で第26回太宰治賞を受賞。11年『こちらあみ子』でデビュー。受賞作品の『むらさきのスカートの女』は、近所に住む「むらさきのスカートの女」と呼ばれる女性が気になって仕方のない<わたし>が、彼女と「ともだち」になるために、自分と同じ職場で彼女が働きだすよう誘導するというストーリー。
大島氏は1962年生まれ、愛知県名古屋市出身。92年『春の手品師』で第74回文學界新人賞を受賞しデビュー。受賞作の『渦 妹背山婦女庭訓(いもせ やまおんなていきん) 魂結(たまむす)び』は、浄瑠璃作者・近松半二の生涯を描いており、著者の長年のテーマ「物語はどこから生まれてくるのか」が、義太夫の如き「語り」にのって、見事に結晶した長編小説となっている。
2019-07-17 11:12:00Z
https://news.livedoor.com/article/detail/16788142/
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